時代の変化の中でその役割を変え、「街を豊かにすること」に真摯に向き合っている、西武信用金庫。今日は、西武信用金庫の髙橋一朗理事長にインタビュー。
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近藤:西武信用金庫さんとのおつきあいもかれこれ4年になりますかね?
髙橋理事長:そうですよね、ママ大のことが掲載された新聞の記事を見て、連絡させていただきました。
近藤:そこからたくさんのサポートをしていただいて。。。本当にありがとうございます。
今日は改めて、西武信用金庫がどんな取り組みをされていらっしゃるのか?そして、なぜ、こんなにも私たちママ大を応援してくださるのか?(笑)この辺りを伺っていきたいなと思っています。
まずは、西武信用金庫といえば、中小企業や地域の商店など、ローカルのビジネスをかなり早い段階から支援してきたことで有名ですが、これは、何かきっかけがあったのでしょうか?
髙橋:そうですね、今から20年〜25年前というのは、日本における経済的な環境が大きく変化してきた頃だったんですね。
当時、頑張っていた中小企業の経営者の皆さんは、大手からの仕事がなくなってきたり、一方で、コンビニやチェーン店が増えてきたことによって、地域の商店なども、今まで通りのやり方では立ち行かなくなって来ました。
近藤:平成の大不景気ですね。
髙橋:そう、そうなると我々、信用金庫もたちまちダメになってしまう訳です。かつてのような人口増加を背景とした高度成長はこの先はないだろう。ならば、中小企業の売り上げを上げたり、人口の増加に変わるような何かエンジンになるようなことを私たちが出来ないだろうか?と考えました。
大胆な舵切り、それは、まるで「禅問答」でした。
近藤:そういった実績は既にあったのですか?
髙橋:いえ、当時は、それこそ禅問答のような状態でした。(笑)
でも、これまで半世紀以上やってきたことを全て止めてでも、取引先2万社の中小企業の支援を全社員がやっていこう、ということで舵を切ったのです。
近藤:それはかなり勇気ある決断でしたよね?
髙橋:そうですね。そして、我々が始めてから5年後、こうしたお客様支援活動を日本の全ての地域金融機関がやるべきである、という地域密着型金融・・・つまり、リレーションシップバンキングが発令され、他の金融機関もやり始めました。
近藤:では、西武信用金庫は、その先駆者と言いますか、基準になったということですよね?
髙橋:いえいえ(笑)中小企業の経営内容を良くして、決算書を改善していくことは、すなわち、私たち金融機関にとって融資が出来やすくなるということですからね。地域の中小企業を支援することは私たちにとって、最も大切なことなのです。
近藤:最初から今のような支援ができていたんでしょうか?
髙橋:とんでもない。始めたばかりの頃は失敗の連続でした。
中小企業と言えども、それぞれでは奥の深い技術やノウハウがあり、私たちに金融マンは分からないこともたくさんありました。その企業の持っている技術が分かったような顔してやっていたらダメでした。
具体的な専門的なサポートは我々だけでは、難しかった訳です。でも、やり続けていく中で、
「この中小企業の技術はどの大学のどの先生が分かるのか?」とか、
「この商品なら、どこの商社が扱ってくれるのか?」など、そういうことがだんだんと見えてきました。地域のお客様の支援をしようとする私たちの考えにご賛同頂ける多くの方々のご協力を得て、具体的にそういった細かな情報の提供やビジネスマッチングを我々が、仲介役として実施していくことにしたのです。
近藤:まさに具体的なサポートですね!
髙橋:こうした活動を25年間、やり続けた結果、最初はわずか2機関だった外部連携先の数も現在は、1000を超え、多種多様な中小企業の課題に向き合っています。
近藤:地域ビジネスのコンシェルジュのような存在ですね。そして、御社では「街づくり支援」にも力を注いでいらっしゃるんですよね?
伸びきった街路樹を我々が整備することは難しいけれど、それをやっている人や団体を応援しよう、と思ったのです。
髙橋:そうですね。やはり、地域の住民の皆さんに豊かに暮らして頂かないと、我々の事業も立ち行かなくなってしまいますし、人口減少社会では、高度成長期のように行政がすべてを担えない時代となり、地域の教育や環境、福祉などを、どう担って行くかが課題となってきました。
アメリカでは既に「コミュニティビジネス」のような枠組みで自分たちの地域に不足していて、
でも、行政がケアできない部分を自分たちで担おうというNPOやソーシャルビジネスが立ち上がり始めていて、
日本でも徐々にそういう存在が増えてきていて、そういう方々を我々が支援することで、その結果、街が豊かになっていくのではないか?と考えたんです。
例えば、地域の川を綺麗にする団体や、伸びきった街路樹を整備するNPOの皆さんがそれを担うのだったら、それは街にとっていいことです。
本当だったら、我々がはさみを持って木を切りに行った方がいいのだろうけど、それもなかなか難しいので、ならば、そういう人や団体を応援しよう、と行っているのです。
近藤:素晴らしいですね。なので、私たち、ママ大も応援して下さった、ということでしょうか?
髙橋:はい、我々には出来ない分野をやっている皆様と連携させていただくことで、私たちも勉強させて頂いていますし、地域が豊かになって頂ければ、より良いと思ってやっています。
今は起業をするにも、本当にいろんな機会が増えていますが、私も37年、信用金庫にいますが、やはり商売を始める、というのはすごく大変な側面もあって、
日本では、いわゆるセーフティネットが整っていないので、一度でも失敗すると、かなりのダメージを受けてしまいます。
ですから、ママ大がそういった不安材料を少しでも軽減させて、幸せな状態で起業できるようなことを行っていらっしゃるのが本当に素晴らしいと思っております。今後もそうしたお手伝いをご一緒にさせて頂けたらえたら、と思っております。
ありがとうございました!
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