ママ大で学んだ、自分をプロデュースする力
「語り劇」という新たな芸術を生み出し、現在は様々なメディアで発信を続け活躍の場を広げている、ママ大8期生の小河知夏さん。
自分の想いを形にするコンテンツをイチから創り出し、その“誰も知らない新しいジャンル”を広め、着実にファンを増やしている「小河知夏劇場」はいかにして生まれたのか…
ママ大と共に走り続けてきた知夏さんの道のりについてお伝えしていきます!
独自の芸術「語り劇」とは?
一人の語り師が、登場人物からナレーションまで何役も演じ分けて、物語が進行していく「語り劇」。
一番近いイメージは「落語」ですが、古典が多い落語と違い、「語り劇」では現代劇や海外のお話など多くの方に馴染みのある作品を扱うことが多いといいます。
また、本をそのまま読む「朗読」や「読み聞かせ」とも違い、耳から聴いてより想像が膨らむように、脚色、演出を加えながら役を演じ分けて表現していくそうです。
語り師とお客さんのスペースさえあればどこでもできるため、普段はお店や会社、学校やイベント会場、時にはお寺など、様々なスペースで上演されています。
知らない人に「知ってもらう」方法とは?
社会人になってすぐ専門の事務所に所属し声優として活動してきた知夏さんですが、ママ大入学を機に「仕事に対する考え方が大きく変わった」と話します。
「ずっと事務所がお仕事を取ってきてくれていたため、独立当時はどうやったら仕事がもらえるか、告知広報のやり方などもわからず、『私の事を知らない人に知ってもらうためにはどうすれば良いのか』を模索している中で出会ったのがママ大でした。
ママ大はメディアに強いという部分も魅力
「やはり洋子さんに惹かれ『この方のもとで学んでみたい』と感じたこと、そしてママ大はメディアに強いという部分も魅力でした。私がやりたい『語り』は写真だけでは魅力を伝えきれないことはわかっていましたが、パソコンに苦手意識があり避けて通っていて…それまではチラシを作って配るか、Facebookで知り合い向けにお知らせするのみでしたが、入学してからYouTubeのライブ配信などもスタートさせました。」
ママ大学長の近藤洋子さんによると「知夏さんが入学した2017年頃は、個人が自分自身をどうプロモーションしていくかということに注目が集まり始めた頃。
イチ『プレイヤー』としてだけではなく、自分のブランディングや発信までトータルで考える『プロデューサー』の視点が求められるようになってきた時期」だといい、知夏さんに限らず、その視点の変え方や具体的な行動がわからずに悩んでいるという方が多かったそうです。
「小河知夏劇場」を広めていくための道のり
知夏さんは、生きていく上で大切な多くのことを「物語」から学んできたそうで、そんなメッセージをより多くの方に伝えたいという想いのもと活動をしていました。その想いを受けて共に知夏さん独自の「語り劇」というジャンルを創り、「小河知夏劇場」というはっきりした形のエンターテイメントを確立していったのが、ママ大のプロデューサーであるトミタプロデュース株式会社 代表取締役の富田剛史さん。語り劇の脚本・演出は全て富田さんが担当されています。
「語り劇」を「知ってもらう」ための活動が、一番大変
そうやってコンテンツの中身を磨くと同時に徹底的に向き合っていったのがPRの考え方でした。
そもそも「語り劇」は知夏さんたちが創った新しい芸術で、誰も知らない新ジャンルだからこそ、ただ宣伝や告知をするだけではその良さには気づいてもらえず、とにかくまず観てもらわないことにはその魅力が伝わりません。
「ママ大に入ってまず痛感したのは、とにかく『知ってもらうこと』が一番大変で、そのためには時間と労力をかけて行くしかない、近道はないんだということ。いわば一番泥臭いところは避けて通れないんだということでした。」
表現者としての実力を充分に持ち合わせている知夏さんの「語り劇」を知ってもらいファンを増やすためにはどうすれば良いのか…そんな知夏さんとママ大の試行錯誤をよく表しているのが、東京は台東区根岸にある創業三百二十年の豆腐料理専門店「笹乃雪」のエピソードです。
ファンのいる作品をファンのいる場所で「吾輩は猫である」
今では看板作品のひとつとなっている知夏さんの「吾輩は猫である」ですが、当初富田さんからこの作品の上演を勧められた時には、「文豪の有名な作品なんて私に演じられるかな…」と及び腰だったそう。
「たとえ中身がどんなに良いものでも、知られなければ意味がない。私自身に知名度がないのであれば、まず作品自体にファンがいるものを選ぶこと、更にその作品にゆかりのある場所での上演を目指すことが大切だと言われました。」
夏目漱石や正岡子規がこよなく愛したお店 『笹乃雪』
『笹乃雪』は、物語を愛する知夏さんにとって元々大切な場所でもありました。
そして、夏目漱石や正岡子規がこよなく愛したお店で、そこにロマンを感じ集まる文豪ファンの皆さんは、知夏さんが大切にしている「物語」の良さをよくわかっている方々でもあります。
もしもそんな場所で上演することができれば、「語り劇」の良さを感じてくれるであろう層に、その魅力や知夏さんの人柄を伝えることができるはず…!
つまりまず「物語」の魅力を知っている人にアプローチし、そこからファンを増やして行くことが大事だと考えたのです。
なんと、夏目漱石のひ孫さんと玄孫(やしゃご)さんも・・・
ただ当の知夏さんは「正直なところ、最初は富田さんたちのアドバイスの意味を全ては理解できていないところもありました」と笑いますが、持ち前の素直さと行動力で努力を続けます。
お店に通い続ける一方で、それまで以上に作品に対する考えを深めることにも注力しました。作家や時代背景についても改めて調べ尽くし、作品をより近しく感じることによって演じ方が変わったり、作家のファンの方々と繋がりができたりと様々な面で幅が広がっていく感覚があったといいます。
そしてついに憧れの場所での上演が叶うことに…さらにその場にはなんと、夏目漱石のひ孫さんと玄孫(やしゃご)さんも観劇にいらしてくれたそう!こんな偶然があるなんて…と感動に震える中で洋子さんに言われたのが「このような素晴らしい上演になったのは、知夏ちゃんが考え方を変え、行動を変えていった結果だよ」という言葉でした。
自分をブランディングする力の大切さ
ママ大に入り、そのアドバイスを元に迷いながらも行動を続ける中で、少しずつ増えて行ったお客様の数。
また同時に、何度もリピートしてくださる方が現れたり、知夏さんの観劇に訪れたお客様同士で文学話が盛り上がり新たなコミュニティができたりと、知夏さんの芸術のコアなファンが生まれていきました。
「ママ大に入って学んだ一番大きなことは自分をブランディングする力の大切さです。自分の伝えたい想いを届けるためには、自分ならではの強みを活かしながらどのような表現をするべきか、そしてそこに興味をもってくれそうな方々に具体的にどうアプローチをしていくべきか、そのためには日々どんな行動をしてどのメディアで発信するべきか…。
それまでも自分の作品に真剣に向き合ってきたつもりでしたが、自分だけでは思い至ることのできなかったアドバイスをたくさんいただいてきました。それらが、洋子さんと富田さんが繰り返し伝えてくださった『プロデューサーの視点』というものなのだと、今ようやく実感できています。」
仕事も人生も大切なことの「本質」は変わらない
物語から多くのことを学んできた知夏さんは、人が生きていく上で「想像力」は大きな力となるという想いがあるそうです。
答えがない道を正解にする伴走力
「『語り劇』はお客様ひとりひとりの想像力で完成する作品です。今まで生きてきたことが投影されるので、同じ話を聞いても脳裏に浮かぶ世界はそれぞれ違う。
そんな「語り劇」を通して束の間の「想像旅行」を楽しんでいただくことで、より幸せに豊かに暮らしていくきっかけを作りしたい。
でもそれを実際にどんな形にすればよいかは、わかりやすい正解もないし、うまくいくかもわかりません。その大変な作業を一緒にやってくださったのがママ大でした。」
人生まるごとに寄り添ってくれる家族のようなママ大
「授業を経て、その後も引き続きプロデュースの契約をお願いした大きな理由は、ここまで『中身』に向き合ってくださる起業塾やスクールなんて他にはないと感じたことです。
私の想い、そしてそれを仕事にしながら家族とどんな人生を歩んで行きたいか…そんな、私の人生まるごとに寄り添いながら向き合ってくださるところがママ大の魅力で、ここだからこそ見つけられた私なりの道だと感じています。」
確固たる信頼関係があってこそのモノづくり
「助言とはいえ時にはかなり厳しい内容もあったにも関わらず、それらを真摯に受け止め行動を止めなかった知夏ちゃんはすごいと思う」と話す洋子さんに対し、「それは、ものづくりという共通のゴールがあったから」と答える知夏さん。
「より良い作品を生み出したいという想いは私自身もずっと大切にしてきたことで、洋子さんと富田さんからは常にそういった『ものづくり』に対する熱い情熱を感じてきました。
目指すゴールが同じで想いを共有できていれば、その途上で多少シビアなやりとりがあったとしても大丈夫。そういった信頼関係の中で向き合って来られたことは、むしろ幸せなことだなと感じています。」
そんな「小河知夏劇場」は、洋子さん達にとっても「『中身』にとことん向き合った生み出した集大成ともいえる存在」なのだといいます。
知夏さんはママ大との関係を、「親子のようだと思うこともある(笑)」と表現されていましたが、これまでの共に歩んできた道のりを経て、より良いものを作って行く仲間としても、お互いの想いを深いところまで理解しあっていることがひしひしと伝わってきました。
家族の絆を感じながら『小河知夏劇場』届けたい
「大掛かりなセットもなければ、他にスタッフもいない。
私一人がいればどこでも開催することができるのが『小河知夏劇場』で、それを支えてくれているのは家族の存在」だと話す知夏さんは、現在、14歳と10歳のふたりのお子さんを子育て中です。
「オンライン劇場の場合は自宅をスタジオにして開催しているので、その裏では夫が子ども達を見てくれたり、子ども達自身が気を利かせて時間をずらして帰ってきてくれたり…子育て中の方は皆さんそうだと思いますが、やはり家族の協力がないと続けられないことだと感じています。
だからこそ日ごろから家族に感謝の気持ちを持って接したいし、家族の絆を感じながら、家族からもらった幸せを乗せて、皆さんに『小河知夏劇場』届けたいと思っています。」
ママ大を通してご自身と向き合い、「人を幸せにしたい」というひたむきな熱意を「小河知夏劇場」という形にし、そのPRまで含めたプロデューサーの視点まで学び体現されてきた知夏さん。
やりたい事がよりくっきりと明確になった知夏さんの、これからのご活躍がますます楽しみです!
このインタビュー&記事を書いたのは
佐々木はる菜さん(現役ママ大生、ライター)
株式会社リクルートを経て、結婚・出産を機にライターへ。現在は、月間PVが2000万を超える人気女性誌のwebサイト『LEEweb』でコラムを連載、主にママ世代に向け国内外のトレンド、商品・サービスや社会的な取り組みなどを幅広く執筆している。子育て中の視点を活かした取材によるリアルな体験記事が得意で、2人の子どもを連れて海外取材を行った経験も。その他、企業サイトのコンテンツ作成や起業家のインタビュー記事制作などに携わる。出産離職や海外転勤など自身の経験から、多様な生き方や女性のはたらき方、駐在妻についての情報発信も目指し、ママ起業家へのインタビューを続けている。
■ライター佐々木はる菜ホームページはコチラから!『ものづくり』に対する熱い情熱