日本ママ起業家大学(通称、ママ大)学長 近藤洋子が幸福学を専門とするEVOL株式会社代表取締役CEOでママ大顧問の前野マドカさんに「幸福な働き方」について聞く対談の前編。マドカさん曰く、「幸せには短期的な幸せと長続きする幸せがあり、月収7桁などの売上だけを求める働き方はあまり幸せな気持ちが持続しない」のだという。では、本当に幸せな働き方とは?

 

近藤:マドカさん、今日はよろしくお願いします。以前、お話を伺った際に、人は、「幸福」な状態だと生産性も想像力も、企業であれば売り上げも高まると・・・。「幸せ」な状態だと、いいことづくめのようですね。

 

前野:本当にそうなんです。私も実感してますが、やっぱり人ってワクワクしてる時に、「心の底から幸せ」って思うし、色々なことが、うまくいくような気がするじゃないですか。

実は、アメリカの研究でも、もう分かっているんですよね。2023年の5月にオックスフォード大とハーバード大のウェルビーイングリサーチセンターで発表されたアメリカの上場企業1,600社に、「あなたは幸せですか」ということを聞いたところ、幸せと答えた方が多かった企業は、企業価値も高くて、株価のパフォーマンスも高くて、そして生産性、つまり収益性も高かったという研究結果がありました。企業にとってはもう、カンパニーウェルビーイングを目指さない手はないというのが、アメリカではもう常識のようになっているのです。

 

近藤:へ〜、それは面白いですね。幸せでないというのは、もうナンセンスだっていうことですね。

 

前野:その通りです。アメリカでは10年前から、もう経営学会の中でウェルビーイングっていう部屋があるぐらい調査されてたんですよ。だから日本は、やっとですね、認知されたのは。

 

近藤:私が前野隆司先生に出会ったのが今から7、8年くらい前ですが、まだその頃は、幸福というとなんかちょっと怪しいという印象を抱く人も少なくなかったような・・・。

 

前野:そうですよね、壺を売られるみたいな(笑)

 

 

日本に幸福学が入ってきて16年くらい経っているのですけれど、当初は「それ何ですか」みたいな感じでした。ここ数年、特にコロナ禍もあって、やはり皆さんが足元を見て「本当に大事なものって何だろう」とか、人生で大切にしていきたいもの、そういったことを考えるようになって、それも背中を押してくれたっていうことがありますね。

 

近藤:コロナは本当に大変な出来事でしたけど、それによって、私たちが気がついたこととか、立ち止まれたことっていうのがたくさんありましたよね。

 

前野:本当にそう思いますね。

 

幸せには2種類ある?!「長続きしない幸せ」と「長続きする幸せ」

 

近藤:「幸せ」って言っても、いろいろありますよね。例えば、私は食べることが大好きなので、「美味しいものを友達や家族と一緒に食べて幸せだな」と感じたり、「温泉入って幸せだな」とか思うんですけど、幸福学の観点から見た「幸せ」というのはどういうものなんでしょうか?

 

前野:そうですね、実は「幸せ」には2種類あるんです。「短期的な幸せ」と「長期的な幸せ」です。

何かを食べて美味しいっていうのもそうなんですが、それは「ひとりで食べて美味しい」って思うのか、「美味しいよねって共感して会話があるから美味しい」と思うのかで違ってくるんですよ。自分ひとりで、ただ食べて美味しいっていう幸せは、その瞬間、グッと幸福度が上がるんですけど、あんまり長続きしないんですね。長期的ではなくて、感情としての幸せなので、ワッと上がるんですが、またすぐに下がってしまうのです。

では、私たちの心をもうちょっと長いスパンで幸せにして、幸せをより感じられるのは何かというと、それは「非地位財による幸せ」と言って、人と比べられない財なんです。

例えば、「人との関係性」・・・、私と洋子さんで楽しいねって思っているような関係性のような幸せって、今ここから離れたとしても、あれはすごい楽しかったなって思うじゃないですか。

近藤:そうですね〜、家に帰ってからもずーっと幸せな気持ちが続きますもんね。

 

前野:そういった長期的なスパンで感じることができる幸せが「非地位財による幸せ」なんですね。

 

月収7桁で本当に幸せになれるのか?

 

近藤:なるほど。非常に興味深いですね。今日まさに伺いたいのが、「お金と幸せの相関関係」なんですよね。

もちろん、現代社会ではお金って重要で。でも、SNSを見ると起業の世界でも「とにかく稼ごう!お金はあればあるほど幸せ!」と盲目的に煽るような面もあって、結構、モヤッとすることが多いんです。

前野隆司先生の著書「年収が増えれば増えるほど幸せになれますか」こちらも読ませていただきましたが、「もっと財産があれば幸せなのにと考える人の割合」についての世界的な調査が載っていて、これ結構、驚きでした。えっと、1位がロシア、2位が中国で、3位が日本・・・・と。

 

前野:そうなんですよ。私たちはやっぱり、目から入ってくる情報がすごく影響していて、お金とか持っているものとか、家とか、目に見える財産っていうものに影響されがちなのです。

 

近藤:ある種、わかりやすいですもんね。

 

前野:「ワールドハピネスレポート」(※世界幸福度報告)で、トップ5にいつも入っているような国、デンマークやスウェーデン、フィンランドと言った北欧が多いのですが、デンマーク では、「ヒュッゲ」という言葉というか概念がありまして。

 

近藤:私もヒュッゲ大好きです。

前野:そう、「ヒュッゲ」というのは、ゆっくりお茶を飲むとか、蝋燭の明かりのところでワインを飲んで幸せ、と思うような時間というか感情というか。「人との関わり」とか、「自分にとっての余白のあるような生活」が人生の中に当たり前にあって、そういうことの重要性が分かっている人たちは、「ヒュッゲ」なことに重きを置いているのです。北欧の国々はまさにそうなんですね。

残念ながら、今トップ3に並んでいた日本や中国、ロシアはまだ気がついていないのかもしれませんね。いや、本当は気がついているけど、やっぱり分かりやすい何かに流されているのかも。

 

近藤:お金やブランド品、ラグジュアリーな暮らしと言いますか、「地位財」がSNSを占拠する中で羨ましいと思う反面、自分の中の違和感に苦しんでいる人も結構いて、ママ大に相談に来る人も少なくないんですよね。

 

前野:そうですね。やっぱり短期的なんですよ。それで得られる幸せは全部。お金を稼ぐことがいけないわけではないのですが、「そのお金をどう使うか」っていう使い方のほうが問題なんです。

どんなに高いものを手に入れたとしても、もっとすごいものを持っている人と出会うと、自分がせっかく手に入れたものが色褪せて見えきて、そうすると、なんだかそこに価値がないような気がしてハッとなるんですよね・・・。

でも、やっぱり、それとは別で、私たちの心をずっと穏やかに幸せを感じられるようにしてくれるっていうのは、「人とのつながり」とか、「自分の価値観」とか、「心の中にあるような一人一人の中にあるもの」そこが大事なので、やっぱりそこに紐付けてほしいんですよ。

 

人と比べない。ママ大流「幸せな働き方」のレシピとは?

 

近藤:マドカさんの著書『君だけの幸せって何だろう』って、子供向けって書かれていますけど、幸福学の基本中の基本に大事なエッセンスが書かれていて。その中でも何といっても「幸せは人それぞれ」。ここですよね。

 

前野:目に見えるものから入る情報が圧倒的に多いので、そうするとどうしても人と比べてしまうじゃないですか。人のありように自分が影響されちゃう。

だから「きみだけの幸せって、なんだろう?」という本のタイトルにもあるように、改めて「あなたにとっての幸せって何だろう」っていうのを自分自身に問い続けるといいと私は思うんですよ。

そうすると自分自身が、揺れてもいいですから、また戻る、また戻る、そうやって自分の基軸というものがしっかりしてくるのではないかなと思います。

近藤:筋トレみたいなものですね。

前野:そうです。

近藤:自分だけの幸せの軸を知る、と言う意味でちょっと、見ていただきたいママ大のオリジナルのシステムがあるんです。SDHシステムっていう、「そ(So)の収入にど(Do)れだけお客さんが必(Hitsu)要か」、略してSDHっていうシステムがあって、エクセルのシートになっていています。

 

まさに幸せは比べるものではないので、月収100万円欲しいっていう方もいれば、10万円で今幸せっていう方もいます。それって比べるものではないけれど、なんかたくさんあればあるほどいいって思ってしまう、「根拠のない、漠然とした何かっていうものを数値化しよう」っていうものなんですね。

まず月間の収入の目標を記入します。ここは、人それぞれです。そして客単価がいくらで何件売ったら、これを達成できるかっていうことなんですが、この次がママ大では、非常に特筆すべき質問になっています。

 

例えば、希望する一日の睡眠時間や朝食の準備から食事片付けにかかる時間、子供のお迎えや買い物にかかる時間、家事・食事時間のうち、子どもや夫と一緒に過ごせる時間はどのくらい欲しいですかというのを、それぞれ打ち込んでいただき、Enter Keyを押すと、この収入を得るためには、どれくらい販売をしなきゃいけないのか、そして、家族と一緒に過ごせる時間はこのくらいですよっていうことがわかります。

要は、お金のことだけを考えるのではなくて、私たちの平等に与えられている24時間を一緒くたに、自分にとってハッピーな形で、そう、ウェルビーイングな形でデザインしていきましょうっていうことです。

 

前野:なるほど〜、可視化できるんですね。

近藤:そうなんですよ。例えばお子さんの年齢によっても育児に関わる時間って変わってくるじゃないですか。なのでその時々で、育児と仕事へのアクセルの踏み方が変わってくるんです。

 

前野:こちらは、子どもが育っていくステージによっても違ってきますよね。まさに手がかかる時とか、高校生だったらそんなにかからないとか、その時によって自分が使える時間があるとか。

 

近藤:まさにそうなんですよね。先ほどもあったように、人と比べてしまうと、お子さんにまだまだ手がかかるのに、できてない自分を、稼げない自分を責めたりするんですけど、自分にとっての一番幸せな人生って何か?を客観視できるツールなんです。

そう思うと、子どもの成長とともに、ビジネスのサイズとか規模感も、アメーバのように変えていくっていうことがすごく大事だと思うのです。

 

前野:これ、素晴らしいと思います。誰かと比べるんじゃなく、自分だけの軸を持っていかに生きるかが大事ですからね。

前野マドカさんとの対談の後編では、「本当に幸せを因数分解したらママ起業になるのか?」・・・その具体的なあれこれを談義していきます。後編もお楽しみに!

 

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