「FumicaのSumica」代表 安田文佳さん
見つけたのは、“幸せの連鎖”を生み出すビジネスのかたち

ご家族で経験された約5年間のアメリカ駐在生活を活かし「元駐妻による駐在ファミリーのためのコンサルティング」を行っている、「FumicaのSumica」代表・安田文佳さん。

ただ綺麗に見せるためのお片付けや整理ではなく、その家で暮らす方々に寄り添いながら“どんな家であれば心地よい暮らしができるか”を共に考え作って行くスタイルが支持を集めています。

「FumicaのSumica」代表・安田文佳さん。元幼稚園教諭。2011年から5年間、夫の転勤でアメリカ(LA/NJ)にて駐在生活を送る。 異文化の暮らし、帰国後のリバースカルチャーショックを経験したのちママ大に入学。自分が大切にしたい暮らし方や家族のあり方への想いを込めた、独自の整理収納コンサルティングの形を生み出し活躍中。オンライン会議システムを活用し、参加者みんなで一緒にそれぞれ自宅の同じ場所を一斉に掃除する「お掃除ジム」や、お子さん向けのおかたづけレッスンなども注目を集める。

「リバースカルチャーショック」に寄り添う

あまり知られていませんが、海外転勤に伴う様々な出来事の中で大変なことのひとつに、「海外転勤から本帰国後に、日本での生活を軌道に乗せること」があるといいます。

例えば帰国後に生活する自宅を整えることだけでも、海外で増えた荷物に加え、出国前に日本のトランクルームに預けていた荷物の整理、新しい家具や家電選びの情報収集と購入、多くの事務手続きなどなど、やるべきことは文字通り山のようにあるのだとか!

海外転勤を経た多くの家族が向き合っている悩みとは

「我が家の場合は娘の小学校入学式3日前に帰国しました。

夫は入学式の10日後に再渡米したため、その後3ヶ月間は母子家庭状態。ひとりで様々な手続きをしながら。慣れない学校生活を送る子ども達を励ましたり、寂しい思いに寄り添ったりと、心身共に全く余裕のない日々を過ごしました。

いわゆる『帰国うつ』『リバースカルチャーショック』

その後帰国した夫は、慣れない日本の会社や気候が原因で過度のストレスを感じたことで約2年間うつ症状で苦しみ、子ども達にとっても辛い経験に…いわゆる『帰国うつ』『リバースカルチャーショック』などと呼ばれる状況で、私たちも含め実は多くの海外赴任家族が感じていること。

家族のケアをしながらおうちを立て直していく大変さを実感しているからこそ、自分の経験を活かして、同じような悩みを抱えている方々の役に立ちたいと考えています。」

ママ大に入学するも、予想外の壁にぶつかり悩む日々

帰国後2年ほどが経ち、やっと生活が落ち着いた頃、もともとお掃除やお片付けなどおうち周りのことやモノを丁寧に選ぶことが好きだったことを活かし、駐在中から興味を持っていた「整理収納アドバイザー」の資格を取得された文佳さん。

自分の生き方をきちんと決めた上で臨みたい

「これからやっていく仕事がきっと自分の生き方そのものになると感じていたため、資格を取ったからなんとなく始めるのではなく、自分の生き方をきちんと決めた上で臨みたい。

『私らしい整理収納アドバイザーってなんだろう?』と考え模索していた時に出会ったのが洋子さんでした。」

ママ大の考えに触れたことで「自分の好きなことを仕事にしていいんだ」と背中を押される想いがしたという文佳さん。

『ママ大福十訓』を最後まで読み、入学を決意

「簡単に成功できる道はないしママ大に入ったからってすぐ答えがわかるわけじゃないけれど、みんなで支え合いながら自分ならではの生き方を見出そう、傍で支えるよ、そんな想いを感じ心惹かれました。当時は帰国してすぐで、身近に親しい友人がいるわけでもなくて…。

そんな中で、私が探している仲間ってここにいるかもしれない、私も仲間に入りたい!と感じ、『ママ大福十訓』を最後まで読んだ時には入学を決めていました。また、『mirai』(※1)にもいつか登壇することを目標に入学しました。」

(※1『mirai』 日本ママ起業家大学選抜メンバーによるプレゼンテーションの他、「働き方の未来」を考える企業など多方面のコメンテーターも招き、これからの“シゴト”について考えていく、ママ大恒例の年に1度の大イベント。)

「自らの意志で笑顔で仕事する よきママ起業家を たくさん輩出することが、幸せなニッポンの未来を作ることに繋がる。」というママ大のビジョンをまとめた行動規範「ママ大福十訓」。

自分の「核」となる部分が見つからず悩み続けた半年間

今でこそ、「自分の経験を活かして、同じように困っている方々を助けたい」という確固たる想いのもとご活躍されている文佳さんですが、意外にもママ大に通っている最中はなかなか自分の「核」となる部分が見つからず悩み続けた半年間だったといいます。

「おかたづけやインテリアのコーディネイトなどを仕事にしたい。そして、ただ見た目を綺麗に整えるだけではなく、そこで暮らす方に寄り添いながらお手伝いしたいという思いはずっと変わらず持っていました。でも整理収納アドバイザーとして活躍されている方は他にもいっぱいいる…

私ならではの形が見つからず、授業を受けながらひたすら自分と向き合うも、自分でも意外なほど答えが見つかりませんでした (笑)。」

卒業1週間前、意外な場所で訪れた転機

洋子さんから「いつか必ず、わかる日が来る」と言われながらも、必死に考えても答えが出ないまま迎えたママ大卒業1週間前のある日、偶然参加されていた息子さんの保護者会で、ひとりのママと出会います。

悩んでいたことが、全てつながっていった

「たまたま隣にいらした初めてお会いする方だったのですが、ちょうど海外転勤から帰国されてすぐだと伺いました。まだ荷物も全て届いておらずホテル暮らし、お子さんもそこから学校に通っている状態で、これからのことを考えると気が重い…というお話を伺っている中で、急にそれだ!とひらめきました。

当時もう日本に戻って2年近くが経っており、帰国直後の大変だった思いは半ば封印しかけていたのですが、その時、これまでママ大の授業で習ってきたことや、悩んでいたことが、すーっとつながって行く感覚がありました。」

整理収納アドバイザーに“ならではの経験”が掛け合わさって、

荷物の整理整頓から心地よい住まい作り、そしてご家族の悩みまで、過去のご自身と同じように大変な思いをしているご家族に寄り添いながらお手伝いをしたいいう想い。

整理収納アドバイザーとしての視点に海外転勤の経験を掛け合わせることで、文佳さんだからこそできる現在のお仕事の形が生まれた瞬間でした。

回り道したからこそ出逢えた“唯一無二の仕事”

洋子さん曰く「そこからの文佳さんの加速度は目を見張るものがあった」といいます。

日本ママ起業家大学学長 近藤洋子

「文佳さんは常々『暮らしは営みであり“ハレ”の日ではない、心地よい営みを作ることをお手伝いしたい』という本質的なところにこだわっていました。そういった核となる想いを持っているからこそ、曖昧なまま形だけ整えるのではなく、時間がかかってもいいからしっかりご自身と向き合って答えを出してほしいと思っていました。

自分の中でこれ!というものが見つかると覚悟が決まるので、言葉の説得力も行動も目に見えて変化していきます。例えば『駐在妻の方々のコミュニティとの繋がりを作ってみては』とアドバイスすると、それ以前だったら少し二の足を踏んでいたかもしれないけれど、即座にコンタクトを取って報告してくれるなど、こちらが驚くほどの行動力を発揮されていました。」

一筋の光が見えた「駐在ファミリー向け」

「駐在ファミリー向け」ということが固まるまでは、自分にはこの経験も足りない、ここは自信がないとマイナスの点ばかり気になり、なかなか前に進めなかったと話す文佳さん。

家族がほっとできる『住処』のサポート

「でも自分と同じように大変な想いをしている方に対しては、あんなこともしたい、こんなこともできる…と、面白いようにやりたいことが浮かんできました。

あの状況には、絶対助ける人が必要という確信があるからこそ、自分の考えや行動がブレることがなくなりました。

一人で悩まず1日も早くスムーズに日本での生活が送れるように、そしてご家族がほっとできる『住処』を作れるようにサポートしたい、それこそが自分の『核』となる想いなのだと思います。」

オンラインお掃除ジムとは?

翌年には念願だった「mirai」へのオーディションにも合格し選抜メンバーとして登壇。
その後、駐在ファミリー向け以外にも拡がっている、文佳さんならではサービスを一部ご紹介します!

新型コロナをきっかけに生まれた「お掃除ジム」

 

ママ大OGの中でも“画期的!”という声が多かった「お掃除ジム」は、参加者みんながオンライン会議システムで繋がり、その日のテーマとなっている箇所をそれぞれの自宅でそれぞれお掃除するというもの。

「スポーツジム」のようなお掃除コミュニティ

このサービスが始まったのは実は、新型コロナによる自粛期間中、直接会えないけれど何かみんなで気持ちが前向きになれることができないかとママ大の中でアイデアを出し合ったことがきっかけ。

「実際に手を動かすことによる達成感は大きく、豊かな気持ちを持つスイッチになると思う」と文佳さんは話します。

はいスタート!と始めると、掃除スイッチが入る、という不思議。

「例えばセミナーなどでいくらお掃除のコツなどをお話しても、実際に皆さんが家に帰って実践してくださっているかは見えないし、現実を前にするとやる気が失せてしまうことってあると思います。

みんなで繋がり、お掃除のノウハウをお伝えし、はいスタート!と始めると、ついお掃除してしまう。

綺麗になるとやはり気持ちよくて、お掃除後に皆さんが見せる『綺麗になりました~』という笑顔が何より楽しみです(笑)場所は離れていてもご近所さんみたいな感覚で、毎週決まった時間に集っています。」

キッズのための整理収納体験レッスン、ナチュラルお掃除

「片づけ上手な子どもを育てたいワケではなく、居心地の良い暮らし方を伝えていきたい。それが、子どもの生きるチカラになっていくのだと思う」

子どもたちに伝えたい 片付けや掃除の大切さ

幼稚園教諭時代やご自身の子育てを通して、子ども達自身にお片付けやお掃除をしてもらうことの大切さを実感。

一緒にお子さんが使っているスペースやクローゼット、机周りやおもちゃなどお片づけをし、自分でモノを大切にすることや使いやすい場所にしまうコツなど学ぶレッスンや、

重曹・クエン酸といった子どもが触れても安心できるものを使って親子で一緒にお風呂掃除などを行う企画なども人気を集めています。

「幸せ」が周りに伝播していく喜び

今回お話を伺う中で印象的だったことのひとつが、お仕事を通して、文佳さんが周りの方々の人生をより幸せに変化させているエピソードでした。

お掃除サポートによって家族の関係まで変化

文佳さんがこれまで出会ったお客様から頂いた中で一番嬉しかったこととして挙げてくださったのが、「自分は変われるはずがないと思っていたのに、文佳さんと出会ったことで変わることができた」という言葉でした。

お片付けこそ、心のサプリメント

最初はお部屋が散らかりすぎて掃除機をかけられないような状態のおうちで、お昼休憩になってもご飯を摂らず、私はサプリを飲むので文佳さんだけ食べてください言われて思わず心配になったというお客様。

でも一緒にお掃除をして家が綺麗になっていくと『今度はおしゃれな家にしたくなった』とインテリアやグリーンのご相談を受けるなど、サポートの形がどんどん変わって行ったといいます。

家族の関係までもポジティブに?!

またその方自身もどんどん変化して、ご飯をきちんと食べるようになって薬に頼らなくなり、髪型を変えたり筋トレを始めたりと外見もより素敵になり、関係に悩んでいたお子さんやご主人と向き合えるようになったそう。

お互い本音で話せるようになったことで家族がより仲良くなり、それまで寝室も別々だったのに家族みんなで一緒に寝るようになったと言われ、文佳さん自身もその激変ぶりに驚いたと嬉しそうに話してくださいました。

心に寄り添うお片付けを

「お片づけがうまくできず悩んでいる時って、気持ちや体も弱っている方多いと感じています。そういう心身の不調にも耳を傾けながら一緒に手を動かしていると、自然に元気になっていきます。

『こうするといい』というアドバイスだけでなく、一緒にやることや一緒に「できる」方法を考えることを大切にしたいと考えています。」

家族が、心身共に健康であることが基本

そんな考えを持つ文佳さんだからこそ、「困っている方を助けるためにも、自分自身や自分の家族が心身共に健康であることを基本」だといいます。

文佳さんのトレードマークでもあるエプロン

 

仕事のペースは子どもたちの成長に合わせて

「少し前までは、お掃除サポートなどに出かけずに自宅を掃除していると、楽しいけれどちょっと罪悪感がありました(笑)でも自分や自分の家が整っていないと、人のおうちを片付けることはできない。

今は、子どもの学校のペースなどに合わせ週2で『お掃除ジム』を行っており、その日は自宅で家を掃除したり、そのことをブログやSNSで発信したり、事務作業をしたりする日と決めています。

そして家にいる分、ちょっと手の込んだ料理を作るなど、自分なりに生活のペースをうまく作って行けるようになりました。」

そう話す文佳さんの様子からは、自分の満足のいく形で仕事にも家族のことにもしっかり向き合えている充実や満足感が伝わってきました。

「FumicaのSumica」エピソード

文佳さんのご両親の家に泊まりに行ったお嬢さん、ママのやり方を真似ておじいちゃんと一緒に玄関や押し入れのお片付けをして、そのビフォーアフターを写真に収めてあげたそう。

ご両親の文佳さんのお仕事に対するご理解も一気に深まったという、微笑ましいエピソードです。

 

 

自分の好きなことを見つけ仕事にされている文佳さんの姿を間近で見ることは、お子さんたちが進学や将来について考える際にもプラスに働いているそう。

また、あまりに楽しそうに仕事に取り組まれているため、旦那様がご自身の働き方について色々と考え直すきっかけにもなったのだとか!

 

「ありがとう」は自分を幸せにする魔法の言葉

「やりがいのある好きな仕事をすること、その仕事を通して人から『ありがとう』と言われることは、 生きていく上で大切なことなのだと感じています。」

インタビューの最後に洋子さんから「ママ大に入る前と今でどんな変化がありますか?」と問われた際、そう答えた文佳さんの姿は本当に生き生きと輝いていました。

“自分ならでは”を活かして、誰かの役に立つ

「以前も、家族が元気で自分もそれなりに毎日楽しく過ごすことができていて充分幸せでしたが、どこか物足りなさを感じていました。自分ならではの経験や得意なことを活かして、誰かの役に立ち、そしてありがとうと言っていただくことは、私自身が前向きに生きるエネルギーになっています!」

暮らしやすい家は十人十色

家族によって『暮らしやすい形』はそれぞれだと思います。綺麗に見えることが良いわけではなく、多少雑然としていたとしても、そこで暮らす方々にとって居心地が良ければそれでいい!暮らしは「映え」ではありません(笑)

それぞれのお客様にとって心地よい日々の営みや、そのご家族にとって暮らしやすい家を形作るため、これからも真摯にお手伝いをしていきたいと考えています。」


自分自身と向き合い、これまでの人生に起こったことを活かし「自分にしかできない仕事」を見出したこと。

そしてその仕事に夢中になることで、お客様だけでなくご家族など身近な方々にも良い変化をもたらしている文佳さんの生き方はまさに、ママ大が目指す「自分の幸せをゴールにする働き方」とそのものだと感じました!

このインタビュー&記事を書いたのは

佐々木はる菜さん(現役ママ大生、ライター)

株式会社リクルートを経て、結婚・出産を機にライターへ。現在は、月間PVが2000万を超える人気女性誌のwebサイト『LEEweb』でコラムを連載、主にママ世代に向け国内外のトレンド、商品・サービスや社会的な取り組みなどを幅広く執筆している。子育て中の視点を活かした取材によるリアルな体験記事が得意で、2人の子どもを連れて海外取材を行った経験も。その他、企業サイトのコンテンツ作成や起業家のインタビュー記事制作などに携わる。出産離職や海外転勤など自身の経験から、多様な生き方や女性のはたらき方、駐在妻についての情報発信も目指し、ママ起業家へのインタビューを続けている。

ライター佐々木はる菜ホームページはコチラから!

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